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民事信託に関する進め方について

一般的モデルケースとして、以下を例に説明いたします。

1.民事信託の内容を確定させる

1-1.民事信託の目的を決める

民事信託は、財産を預ける人(委託者兼受益者)と、その財産の管理/運営を行う管理人(受託者)との契約です。この契約の範囲内であれば、委託者のために自由に財産を管理運用することができます。
どのような財産管理を行うのかを決めることが、民事信託の目的設定です。
民事信託では、信託契約に定めた信託目的に応じて、財産の管理人(受託者)は財産を運営することになります。
信託の目的には次のようなものが考えられます。
・親の介護費用を工面するために財産管理を行う
・子どもの財産管理と生活費の支給のために財産管理を行う
・事業承継の円滑化を図る
ここで決めた民事信託の目的は、信託契約の契約書で明記します。

1-2.財産の管理人(受託者)を決める

次に財産の管理人を決めます。民事信託では9割近くを子どもが勤めているのが実情ですが、他の方でも構いません。但し、当然のことながら安心して財産の運用を託せることが必須となります。

※民事信託では、委託者兼受益者と受託者以外にも登場人物がいます。以下に概要を述べますので、必要に応じて設定します。

(1) 二次(三次以降)受益者

受益者が亡くなった後も、次に利益を受け取る人を予め定めておけば、民事信託を継続出来ます。この、次に利益を受ける人を二次受益者と呼び、さらに三次、四次と定めることが可能であり、これから生まれてくる子供を指定することもできます。
注:信託が設定された時から30年を経過した場合、それ以降に利益を受け取る人が死亡してしまうと、権利引き継ぎができず、民事信託は終了します。

(2) 受益者代理人

預けた財産から生じる利益を受け取る受益者が権利を行使できない時に、受益者に代わって権利を行使する権限を与えれた人が受益者代理人です。
例えば、受益者が認知症になって判断能力が失われた等の場合でも、受益者代理人を立てておくことにより、民事信託を有効に継続することができます。

(3) 信託監督人

受託者の財産管理状況の監視/監督を、財産を預けた委託者に代わって行う者が信託監督人です。
財産の持ち主である委託者が、認知症等、判断能力が十分でない場合には、受託者の財産管理の方法を正しく監督出来ません。このような場合に、委託者に代わって管理運営状況を監視する者を信託監督人として設定します。

1-3.信託財産を決める

民事信託では、財産の管理人(受託者)に委託する財産の種類及び金額を定めます。
法定後見制度と異なり、被後見人の財産の内、預ける財産を個々に指定することとなります。
例えば、不動産、定期預金、株式などを所有している委託者が受託者と信託契約を行う場合には、これらの財産の中から信託財産として設定する財産の種類および金額を指定することになります。

1-4.民事信託の終了事由を定める

民事信託をいつまで続けるのかを決めておくことも必要です。
通常、財産から得られる利益を受け取る人が亡くなった時点で終了とすることが多いのですが、利益を受け取る権利を引き継がせる場合は、最終的な利益を受け取る権利を有する者が亡くなった時点で終了とさせます。

1-5.家族の同意を得る

民事信託を検討するにあたっては、家族全員の同意を得ることが必須です。
特に受託者は財産の管理運営について大きな裁量を与えられることから、他の親族から見れば、自分たちの関与していない所で勝手に親の財産を利用していると言ったトラブルになりかねません。
家族全員に、民事信託の制度についての理解や信託財産の種類/管理運用の方針を納得して頂く必要があります。
なお、後のトラブルを防ぐため、同意が得られた際には同意書を取得しておきます。

2.信託契約の締結と信託登記の実行

2-1.信託契約書案を作成する

決定した内容を元に、信託契約書案を作成します。

2-2.公正証書で信託契約書を作成する

信託契約書を公正証書で作成すると以下のメリットがあり、こちらを推奨します。

(1) 高い証明力

公正証書は、法律に精通した公証人が契約内容について法令に違反する箇所がないかをチェックし、さらに契約当事者の身元について印鑑証明書など確認して作成します。そのため、後で公正証書の内容が裁判で否認されたり、無効になる可能性はほぼ無く、高い証明力を備えています。

(2) 再発行ができる

公正証書は公証役場でも保管されることになるため、万が一紛失してしまった場合でも、再発行してもらうことができます。また、公証役場で保管されるため、契約が改ざんされる心配もありません。

※公正証書で信託契約書を作成する手続き概要
・公証役場と契約書案のやり取りを行い、契約書内の不備を確認する。
・契約当事者全員(委託書、受益者、受託者)が公証役場に出頭する日時を決定する。
・契約当日、公証人が契約書の内容を読み上げ、署名捺印を行う。

2-3.不動産の信託登記を行う

信託財産に不動産がある場合には、その不動産に信託財産である旨の登記を入れます。

2-4.銀行で信託口口座を作成する

信託財産に現金がある場合には、現金を管理する信託口口座を作成します。契約書案が出来上がった段階で、銀行に契約内容案をチェックしてもらい、口座作成が可能かどうか打診しておきます。

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